芋金誕生ものがたり
芋金いもきん
和菓子職人の探究心と
遊び心から生まれた新スイーツ
素材の味わいを存分に引き出した
極上のスイートポテト
和菓子職人がつくるスイートポテトは、なめらかな「いも感」が身上
銘菓「芋金」は、和菓子職人の探究心から生まれました。
商品の製造には、サツマイモを原料とした自家製いもペーストが欠かせません。例えば、定番人気の「いもようかん」をつくるときは、この自家製いもペーストの仕上がり具合が味わいを大きく左右します。
ある日、この自家製いもペーストを使って、新たな商品ができないか思案。和菓子の垣根を越えて、洋菓子づくりにもチャレンジしたい。そんな探究心と遊び心からスイートポテトづくりを思い立ちました。
試行錯誤すること数週間。クリームやバターなどの分量を変えつつ、自家製いもペーストの味わいを最大限に引き出す「黄金律」を探し求めました。和菓子職人がつくるスイートポテトは甘さ控えめ、素材そのものの味わいが生きた「いも感」が身上です。
仕上がった商品は、作り手としては合格ラインでしたが、お客様の反応が気になるところでした。新商品として店頭に並べたのが平成24年ごろ。最初に常連のお客様の支持を得、その後、口コミでじわじわと観光客の方々に注目されるようになりました。
今や当店の「どらやき」と人気を二分する看板商品にまで成長。製法や素材選びにとことんこだわった、和菓子職人の面目躍如といったところでしょうか。
「土」と「人」が育んだ、究極のサツマイモを求めて
「芋金」の商品開発は、素材選びがすべてでした。地場産を含めていくつかの産地を試す中で、最も「いも感」が優れていたのは栃木県のお隣、茨城県筑西市のブランド芋「井上さつま」でした。旧関城町井上地区だけで生産される知る人ぞ知るサツマイモで、品種は北関東では定番のベニアヅマです。
井上さつまはサツマイモならではの甘味や香りが豊かで、濃厚かつクリーミーな味わいを特徴とする「芋金」にはぴったり。なめらかな舌触りも表現できるなど、類い希に見るポテンシャルの高いブランド芋です。
この井上さつまの味に惚れ込んで以来、現地に足しげく通い、生産農家の方々と交流。いも農家さんと出会い、契約栽培に至ったことは、「芋金」誕生のエポックメイキングになりました。
「いもづくり名人」と言われるいも農家さんは、土づくりにも余念がありません。農家にとって土づくりが生命線であることは言わずもがなですが、そのこだわりが品質にも表れていて、農作物の味わいは「土」と「人」であることに改めて気づかされました。
いもづくり名人が丹精込めて育てたサツマイモで「芋金」が製造できることは、「身土不二」をコンセプトとする当店の誇りです。
鮮度、旬、味わいを引き出すために、素材から吟味し、一から手づくり

鮮度、旬、味わい。これらすべての条件を有する素材のクォリティーを生かすも殺すも、その加工方法にあります。当店では畑から収穫されたままの状態で仕入れ、洗浄し、ヘタを取り、皮を剥くまでの下ごしらえを内製化しています。その理由は先に触れた通り、鮮度、旬、味わいを失いたくないから。手間暇のかかる作業ですがそれを端折らず、素材から吟味して手づくりすることを菓子づくりの信念としています。
また今後は、鮮度や旬をより重視するために、素材を自社畑で栽培しようと考えています。平成27年春、その第1弾として栗の木を30本ほど植えました。どらやきの中で最も人気の高い栗を、製造元自ら栽培するという試みです。初めての取り組みであり、期待と不安が交錯しますが、順調に育ってくれることを心から願っています。
この自社栽培が軌道に乗ったら、ぜひともサツマイモづくりにもチャレンジしたいと思っています。「いもづくり名人」には到底及びませんが、「土」と「人」の関係性を身体で学びつつ、新たな商品づくりに生かしたいと考えています。
素材感を際立たせた新スイーツ。佐野を代表する銘菓を目指して
「芋金」には以上のような手づくりの工程が、商品の味わいに生かされています。例えるなら、たき火で焼いた「焼きいも」や天日で乾かした「干しいも」のように。サツマイモならではの昔なつかしい、郷愁をそそる素朴な味わいを重視しています。
振り返ってみれば、初めからスイートポテトありきだったわけではありません。サツマイモの味わいを最大限生かすために、試行錯誤の末にたどり着いたのがスイートポテトでした。和菓子職人としてサツマイモの素材感を追求した結果、和・洋の垣根を越えた新たなスイーツが生まれたというわけです。
発売当初はレギュラーのみでしたが、その後、蜜漬けしたリンゴをトッピングした「芋金 りんご」を、京都宇治産の抹茶を練り込んだ「芋金 抹茶」をラインナップに加えました。現在、この3種類が定番アイテムですが、これ以外にも季節限定アイテムとしてイチゴや栗、ユズなどを手がけています。
緑茶はもちろん、コーヒーや紅茶にも合うため、地元・佐野ではティータイムのお供などご自宅用として購入されるお客様が多く、また最近では、ご贈答用など手みやげとしてご利用いただくケースも増えてきました。
地元銘菓としての認知度はまだまだですが、ゆくゆくは、ふるさと・佐野を代表する銘菓になることを目指して、素材感を大切にした菓子づくりを体現していきたいと思っています。
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芋金
(通年販売) -
抹茶の芋金
(通年販売) -
りんごの芋金
(通年販売)
季節商品の販売時期の詳細は店舗までお気軽にお問い合わせください。